女性皇族の正装にかかせない帽子。新年は愛子さまが身に着けた帽子に注目が集まったが、雅子さまの装いにも皇太子妃のときから変わらない「自分らしさがある」と語るのは、父である故・平田暁夫さんとともに親子2代で皇室の帽子デザイナーを務める平田欧子さんだ。雅子さまの帽子に込められた秘話とは――。
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皇后雅子さまの帽子の装いには、はっきりとしたお好みがある。
「近年は、やや目深にかぶられます。いま、ご自身にもっともなじまれる角度なのでしょう」
そう話すのは、皇室の帽子デザイナーの平田欧子さんだ。
たとえば、新年に上皇ご夫妻にごあいさつに向かう、天皇ご一家の写真。雅子さまと愛子さまはローブモンタントに、つばのない「トーク帽」を合わせている。
よく見るとお二人のかぶり方は、まるで違う。
愛子さまは、浅めにかぶって額を見せている。お顔の表情がよく見え、若々しさが伝わってくる。一方、雅子さまは眉が隠れるほど深めの位置で、フォーマルな印象が際立つ。かぶる角度をわずかに変えることで、実に表情豊かな装いとなる。それが、帽子の魅力でもある。
このコロナ禍で、皇族方の装いにも変化があった。
「コロナ禍でマスクをつけるようになってからは、ベレー帽をかぶられたり、帽子のつばを上げて額と顔を広めに出すなどの工夫をなさる皇族方が増えました」
しかし、雅子さまのスタイルは、変わらないという。
これは自分らしい、自分らしくはない――雅子さまは、ご自分の中にあるそうした「感覚」を大切になさる方である、と欧子さんは感じている。
その感性が体現されているのが、丁寧に考えられたつばの曲線だ。
つば全体が上がるのが「ブルトン帽」。雅子さまの場合は、正面はやや深めで、耳から後ろにかけてなだらかにラインが上がる作りに仕上がっている。
このつばのラインを好まれるのは、皇太子妃時代から変わらない。
「雅子さまがしっくりくるとお感じになるフォルムなのだと感じます」
雅子さまの着こなしの特色のひとつはリメイクとリフォームだ。