山本大平著『独立思考』(朝日新聞出版)※Amazonで本の詳細を見る
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■プロの会議は反論と感情を切り離す

 さて、相手の意見や主張に対して反論したい場面ではどの様なコミュニケーションをとるべきなのでしょうか。反論というものは多くの人にとって受け入れがたいものです。なぜでしょうか? 山本さんは「自分が反論をする場面を思い出してみてください」と本書の中で語りかけます。

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 まず、誰かのアイデアの否定を行う際には「代替案(別の対策案やアイデア)」を必ず提示すべきです。ビジネスシーンでは「よりよい何かを生産する」ために会議や打合せを行います。論理矛盾やあげ足をとることは簡単で誰にでもできます。しかしそんな会議は時間の無駄。否定だけでは何も生産されません。賢者の反論には必ず代替案までが提示されます。つまり反論者が反論される立場に堂々と立っています。その反論の繰り返しにより対策案やアイデアを磨いていく協調(交互作用)には生産性があると考えます。ただただ否定する批評するといった行為は、おそらく仕事のできる人の間では「反論」とも呼ばず「感想」と呼ばれる部類に入るのではないでしょうか。
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 しかし人間は「感情の生き物」。いくらロジックが正しく「ならばこうすべきだ」といった代替案までが提示された反論でも「感情」が邪魔をして受け入れられない、ということが往々にしてあります。そのような場合はどうすれば良いのでしょうか。

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 まず、これまで経営コンサルとしてクライアントの会議に数多く参加してきましたが、一つハッキリしていることは、どこの会社でも、仕事ができる方ほど、「人間は感情の動物である」ということを理解されています。つまり、「反論時の言い回し」には慎重な配慮がなされており、コンフリクトタイムのリスクをとりません。コンフリクトが起きている時間は生産されるものは何一つ無いからです。

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立場を入れ替えてみて納得できる反論は正しい