山本大平さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
山本大平さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 例えば、仮に成果を(Y)とした場合に、下記の(1)と(2)では(2)の方が交互作用(X1×X2)の分、成果(Y)の値は大きくなります。山本さんは数式を単純化して協調のメリットを説明します。

(1)Y=X1+X2
(2)Y=X1+X2+(X1×X2)

 そして、その組織や仲間と協調して交互作用を生むために必要なスキルが「コミュニケーション」です。本書の第5章は「独立思考を最大化するコミュニケーション」と題して、まるまるコミュニケーションに割いています。それほど、山本さんはコミュニケーションの重要性を強調しています。

■成果を最大化するコミュニケーションの原則「口2耳8」

 独立思考の成果を最大化するためのコミュニケーション(交互作用を得る手段)において、その基礎をなすマインドとして山本さんが挙げているのが「口2耳8」のスタンスです。
この「口2耳8」について、山本さんはこう述べています。

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 これは会議などでのコミュニケーションスタンスを表した言葉です。誰が言い出したのかは分かりませんが、私がトヨタに在籍していた頃、ある役員さんが仰っていた「口2耳8」という言葉が回覧されていました。私もこの言葉が好きで、例えば、会議や打ち合わせ、または日常でも、「人の話を8割聴いて、自分の主張は2割に留める」スタンスを心がけるようにしています。コミュニケーションがかなりスムーズになるからです。
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 しかし、私たちが日々直面する会議や打合せの場面では、自分の独壇場とばかりに「口8」で話す人をよく見かけませんか? 「しまった、自分も『口8』かも……」と我が身を振り返る人もいるかもしれません。「このスタンスのままだと、せっかくの他者のアイデアを頂くことはできません」と山本さんは指摘します。

 会議や打ち合わせの時間を「アイデア交換の場所」として有意義なものにするためにも「口2耳8」のスタンスでのコミュニケーションが求められます。山本さんは「プロフェッショナルが集まる組織には必須の原則」とまで強調しています。逆説的に言えば、私たちがビジネスにおいて、周囲にプロフェッショナルとして認められるためにも、まずは日ごろのコミュニケーションにおいてこの「口2耳8」のバランスを意識する必要がありそうです。

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