これまでを振り返り、「非常に優秀な上司や同僚と働く機会に恵まれた」「彼らの素晴らしい仕事を見ることで、自分の中でのスタンダードを高く設定することができた」という。指導する立場になった今、そこを重視して後進を育成する。

「執刀経験を積むことも、手術手技を高めるために大切ですが、自分よりはるかに高度で洗練された手術を多く見ることが、結果的に伸びしろを大きくします。さまざまな仕事のやり方、外科医としてチームとしてのビジョン、リーダーシップの取り方などを学ぶことも重要です。僕も指導者として、後輩たちが高いレベルの将来像を描けるような仕事ぶりをみせていかなければならないと思っています」

 田端医師には心がけていることがある。まず、患者とその家族、患者を紹介した医師の期待を上回る結果を出すことだ。

「手術は結果が一番重要です。うちなら一番いい手術を受けられると思ってくれているわけで、常に期待以上の結果を出すために、全力を尽くします」

 次が「不断前進(現状に満足せず、常に高い目標を目指して努力を続ける姿勢)」という順天堂大学の理念。最後に、患者やスタッフとのコミュニケーションをしっかりとり、礼節を持って接するということ。

■良いチームを作り、神の手を超える

「『外科医の神の手』などと言われますが、外科医だけでは良い手術はできません。循環器内科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、理学療法士などのスタッフとチーム一丸になることで、良い手術結果を出すことができるのです。『チーム力は神の手に勝る』というのは自分のモットーであり、手術技術の鍛錬だけでなく良いチーム作りを追求して、常に期待以上の結果を出せるように努めます」

(取材・文/伊波達也)

本企画では、もう一人、婦人科がん「最後の砦」がん研有明病院の金尾祐之医師にも取材をしています。併せてご覧ください。

本記事の全文、疾患別の詳しい治療法や医療機関の選び方、治療件数の多い医療機関のデータについては、好評発売中の週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2023』に掲載しています。

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