荒川 そういう人は頼られると嬉しいんですよ。そこは自己肯定感と大きくかかわっていると思います。

宮崎 専門的なスキルを身につけることは大切ですね。現状のままでいたら、キャリアパスはないということです。「明日になれば宝くじが当たるかも」と受け身の姿勢ではなくて、自分で宝くじをつくりにいかないと。

 恋愛面なら、合コンするとか。筋トレをするでもいいですよ。そこから花が開くことがあります。最近ジムに通っているんですが、筋トレしている人は自己肯定感が高いですね。

荒川 鍛えれば、筋肉を人に見せたくなりますからね。それがコミュニケーションの入り口になります。

  • ――最後に、政府の取り組みについての正直な感想や、政治家への注文を聞いてみた。

荒川 内閣府の研究会で、恋愛支援として教育に「壁ドン」を取り入れてはどうか、という議論があって、SNS上で炎上したことがありました。国の婚活支援で「壁ドン」はありえないでしょう。

内閣府の「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」資料。批判的な意見が多数あった。
内閣府の「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」資料。批判的な意見が多数あった。

宮崎 アハハ(笑)。非モテの人がいきなり壁ドンなんかしたら、恐喝、脅迫になりますからね。

 だけど、僕はそういう発想は大事だと思います。つまり、この問題についてはタブーのない議論を思い切ってしていくべきです。政治家は恋愛のメカニズムと恋愛現場のリアルをもっと勉強しないといけませんね。

荒川 今の政治家を見ると、還暦以上の方々が多いですよね。

宮崎 この問題は若い政治家が声を上げないといけません。

結婚のメリットは何?」と聞かれたら、「楽しいよ」ぐらいしかないのは問題です。「結婚したら、このくらい有利な税制がある」「子どもをつくったら、国からのサポートが格段に増える」とか言える状況をつくらないといけないと思います。

 しょぼい対策では若者のマインドは変わらない。明日が不安で結婚もできない、子どもも産めないというのであれば、思い切った対策をすべき、ということです。

荒川 ところで、宮崎さんは政治家には戻らないんですか。

宮崎 いやぁ、政治家に対して世間から厳しい目がありますよね。僕の元同僚も息苦しそうにしている人は多いですね。窮屈な立場だとまた皆様にご迷惑をおかけするかもしれないので、僕は民間の立場で、社会課題に向き合っていきたいですね。

(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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