
東京にいても、もちろん仕事は一生懸命やるわけですけど、九州だと何ひとつ取っ掛かりも実績もない状態なので、ひとつひとつのことを本当に死に物狂いでやるしかない。ライブも必死ですから「普通のことをしても仕方がない。何かインパクトを残さないと」という感覚になってました。爪痕を残す。一撃一撃本気で打ち込む。全ての仕事に対してそんな気持ちでした。
多くのトップアーティストが輩出した九州の音楽の聖地といわれるライブハウス「照和」に頼み込んで、ネタのライブもさせてもらいました。口では説明しにくい領域ですけど、東京での一生懸命よりさらに一生懸命というか。もうやるしかないという覚悟。それが定まったのかなと。
あと、僕は学生時代にずっと剣道をしてたんですけど、そこでの教訓も生きていると思いました。剣道では「打たれる。もう、防御は間に合わない」となったら怖くても半歩前に出るんです。そうすると、相手の竹刀の内側に入るのでクリーンヒットを免れることができる。もうどうしようもないときこそ、前に出る。これは心がけてきたことではありました。
そんな中で2009年から「パラシュート部隊」との番組「ゴリパラ見聞録」が始まって、状況が変わっていきました。どこまでもありがたいことなんですけど。
昨年から今年にかけて番組のイベントを全国ツアーという形でやらせてもらうことにもなりましたし、番組のYouTubeも多くの方に登録していただけています。
これまではローカル番組という概念がしっかりあったと思うんですけど、今はどこの地域でもいろいろな番組を見られるシステムがたくさんできました。何も分からないところからやってきた者としてはまさかの事態でもありますけど、ずっと変わらずにやってきたこと。それがもし今のシステムの中でお楽しみいただけているなら、これもまた本当にありがたいことだと思っています。
われわれがやってきたのは何もかも「さらけ出す」ということです。「心のパンツを脱ぐ」という表現をしたりもするんですけど、全部をお見せする。隠さない。番組でお酒を飲む場面も多々あるんですけど、思っていることをそのまま話す。号泣もする。僕の場合は離婚したこともそのまま話す。