このように彼らにとってなじみ深いものもあるようですが、ほとんどの地図記号は謎のまま。私たちはそれらの地図記号のところに実際何があるかを確認すべく、まち探検に出かけました。
たくらみキッズが最も気になっていたのは教室周辺に何個もある『卍』マークです。
「ほんまにこの辺にお寺あるんかなあ?」
地図を片手にいつもは行かない方面をうろうろ探索してみることに。しばらくすると、たしかにそれらしい門と壁が見えてきました。
よほど意識して見ない限り、特色ある建物も風景の一部になってしまうのかもしれません。
「あのマーク、お墓のことやったんや!」
門から中を覗いてみることで、謎だった『⊥』マークの正体が判明しました。どうりでお寺の近くに描かれていた訳です。
子どもたちは本物の探検隊になった気分で、地図記号が描かれた場所を一つずつ探し当てていきます。
教会だと思っていたものが実は病院だったり、図書館だと思っていたものが実は美術館だったり。
探検前の予想は外れたものの、新たな発見がいくつもあり、たくらみキッズは満足げです。
「これ、何やろ?」
教室への帰路の途中、寺町今出川で私たちはある石碑を発見しました。
その4面には方角だけでなく、たくさんの地名が距離とともに示されていました。
「大原口道標」と呼ばれるこの道標は幕末に建てられたもので、今なお美しい形で残されているのです。数多くの旅人を導いてきた石碑を子どもたちが物珍しそうに触ったり、そこに書かれた文字をどうにか読み取ろうとしたりする姿がなんとも印象的でした。
まさに時代を超えて、先人とのつながりを感じる瞬間だったように思います。
たくらみ低学年クラスのまち探検はまだまだ続きます。
※AERAオンライン限定記事
○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。