地図を広げて教室の場所を探す子どもたち
地図を広げて教室の場所を探す子どもたち
子どもたちが気になった地図記号を書き出した様子
子どもたちが気になった地図記号を書き出した様子
幕末に建てられた「大原口道標」。子どもたちも興味津々
幕末に建てられた「大原口道標」。子どもたちも興味津々

 たくらみ低学年(小学1・2年生)クラスは現在、まち探検プロジェクトに取り組み中です。

【写真】幕末に建てられた石碑を発見!子どもたちも興味津々…

 全体を俯瞰する「鳥の目」と細部に注目する「虫の目」を駆使して、思わず人に紹介したくなる発見を書き込んだオリジナル地図を作ることを目指します。

 2日目の授業では、まずみんなで国土地理院が発行する地図を確認してみることにしました。

 今回用意したのは我が国の基本図として様々な用途で使用される2万5千分の1地形図です。

「あっ、この地図、琵琶湖も載ってる!」

 探究堂の活動拠点がある「京都東北部」の地図では滋賀県の大津市も範囲に含まれていました。
 
 地図で見ると、隣県の琵琶湖が思いのほか近くに感じられます。

「探究堂の教室があるのはどの辺りやと思う?」

 そう問いかけると、たくらみキッズは我先にと身を乗り出して地図とにらめっこします。

 出町柳駅や鴨川デルタといった目印はすぐに見つけられたようですが、それぞれが指さしたところは正解の場所とはかなりずれていました。

 子どもたちに縮尺の感覚をつかんでもらうため、私は実際の地上の長さ100メートルがこの地図上では4ミリメートルで表されることを伝えます。

 すると、「たった、そんだけ?」と彼らは驚きの表情を見せました。

 改めて地図に目をやると、地図でもはっきりわかるくらい大きな長方形で描かれたある場所に意識が向きます。

「御所って、めっちゃ広いねんなあ……」

 探究堂の授業でも何度も訪れたことのある京都御苑の広さを私たちは改めて実感します。

 しばらく地図を眺めていると、いろいろな地図記号があちこちに登場することに気づきました。

「『〒』は郵便局で、『X』は交番やった気がするわ」

 2年生のSくんが元気よく答えてくれました。家でも地図をよく見ているというだけあって、どうやら自信があるようです。

「『文』のところには僕の別荘があんねん」

 私のあだ名を交えて、不意に私がしょうもない冗談をかますと、「ちゃうで! このマークは学校やし」と子どもたちは笑いながら訂正します。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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