医療的ケア児は増えている(AERA 2020年2月10日号より)
医療的ケア児は増えている(AERA 2020年2月10日号より)
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特別支援学校の医療的ケア児の3分の2に保護者が付き添っている(AERA 2020年2月10日号より)
特別支援学校の医療的ケア児の3分の2に保護者が付き添っている(AERA 2020年2月10日号より)

 学校生活に親や看護師らのケアが必要な子どもたちがいる。国は親が付き添わず通学できる態勢を整備するよううながしているが、教育現場の腰は重い。課題はどこにあるのか。AERA2020年2月10日号で掲載された記事を紹介する。

【グラフで見る】どのくらいの保護者が付き添っているの?

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 たんを吸引したり、鼻などを通したチューブから栄養を与えたりする「医療的ケア」を必要とする子どもたち(医療的ケア児)の3人に2人は、保護者の付き添いがなければ特別支援学校にも通学できていない。そんな現状を変えたいと願う声に、国や一部の自治体が制度変更や予算措置で応え始めた。ただ、学校現場での対応はなかなか進んでいない。

 厚生労働省の研究班によると、医療的ケア児は2006年の9967人から16年には1万8272人と、10年間で約2倍に増えた。医療技術の進歩とともに、助けられなかった命も救えるようになったためだ。文部科学省によると、17年度には全国の公立特別支援学校には8218人、公立小・中学校には858人の医療的ケア児が在籍している。

 ただ、同省の16年の調査では、公立特別支援学校に通学する医療的ケア児のうち、校内や登下校時(いずれかも含む)に保護者が付き添いを行っている割合が65.8%にのぼった。

 付き添いが必要な理由の一つは、たんの吸引や経管栄養などが「医行為」とされ、行える人が限られることだ。家族以外に行えるのは医師や看護師で、たんの吸引など五つの特定行為については9時間の基本研修と各学校での実地研修を受けて「認定特定行為業務従事者」と認定された教員もできる。

 ただ、前出の調査で最も多かった付き添い理由は「看護師が常駐しているが学校等の希望により」(54%)というもの。校内に医療的ケアを行える人がいても、保護者の付き添いを求められるケースが多いのだ。

 保護者が付き添う形での通学について、特別支援教育に詳しい小林保子・鎌倉女子大学教授はこう指摘する。

「障害があっても、小学生になれば親から離れて自立の一歩を踏み出し、その子の世界を持つことはとても大切。学校での保護者の付き添いは、そうした貴重な機会を奪ってしまう」

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