糖質制限の流行で糖質を避ける人も多くなった。だが、そうした昨今の傾向に専門家が「弊害あり」と警鐘する。では、食事とどう向き合っていけばいいのか。AERA 2020年1月13日号では、医師がメタボに悩む編集部員2人に「原始人ダイエット」を提案する。
【図】「運動すれば痩せる」は誤解 年々下がる基礎代謝を食事で上げるプロのワザ
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極端に糖質を悪者扱いする風潮もよくないらしい。
「代謝を高めるためには、エネルギー源になりやすい糖質を少し摂取したほうがいいです。毎食、白米や玄米の形で80グラム(茶わんの半分程度)は食べてください」(ボディワーカー・森拓郎さん)
千葉・佐原のあいざわクリニック院長の会沢昌倫医師も、糖質制限による弊害を糖尿病患者の症例として見てきた。
「健康な人が過度の糖質制限をすると、インスリンをうまく使えなくなり、糖に対して弱い体になりがちです。インスリンとは、糖の代謝(血糖値をちょうどいいバランスに保つ)を行うホルモン。糖質を絶っていた人がちょっとご飯やパンを食べただけでリバウンドしてしまう原因もそこにあるかもしれません」
あいざわクリニックでは、生命に危険を及ぼす状態の肥満患者に保険診療で指導する。その食事療法をもとに、本誌読者のためにアレンジした食事法を考えてもらった。名付けて「原始人ダイエット」。
「人間が自然のものを自然のまま、食べたいだけ食べていた頃に近い食生活をします。食事は肉または魚を焼くか蒸す調理法で、お好きなだけ。味付けは塩、しょうゆ。油はオリーブ油、アマニ油、えごま油。野菜はキャベツ、ネギ、ニラなどの葉物に加えてきのこ類をバランスよく。体温を上げる生姜を積極的に」(会沢医師)
肉と魚の種類は何でも。起き抜けに白湯を飲む。それ以外にも飲み水はできれば1日1~2リットル。シャワーではなく湯船に毎日つかる。これをまず2週間から1カ月続ける。あまりに重い体重は足腰への負担も大きいので、多少の筋肉の衰えは目をつぶって糖質ほぼゼロの食事による減量を短期間したほうがいい。その後は茶碗に軽く一杯の米や少量の果物で糖質を解禁し、3カ月ほど続ける。食事はよくかむこと。衰えた筋肉を育てるべく、1日30分のウォーキングや腹筋などのエクササイズを1日1回から始める。