「AAゴールデンエイジ」を読み、これらの数字を見る。だから愛子さまに期待が集まるのだな、と思う。男性はあてにならない。女性なら救ってくれるかもしれない。行き詰まった日本にあって、そう考える人が増えても不思議ではない。若い世代に目をやれば、日本には愛子さまがいるではないか。そんな気持ちが「愛子天皇待望論」を切実なものにしているのではないだろうか。
「AAゴールデンエイジ」の芦田首相は英語、アラブ語、ペルシャ語、トルコ語を駆使する。「混沌(こんとん)」を明快な言葉で解きほぐし、落とし所を探り当て、キーパーソンへ働きかける。そして愛子帝は徹頭徹尾「肝の据わった人」だ。内親王時代、皇室会議で首相から「あなたが皇位を継承する可能性について、どう思われるか」と聞かれ、「そのようになれば、そういたします」とサラリと答える。
「AAゴールデンエイジ」と「愛子天皇待望論」は、今の日本に足りないものを示している。それは「解」を持つ「肝の据わった人」。愛子さまは優秀な母を持ち、生まれた時から父である陛下(59)のもとで帝王学を学んでいる。愛子さまへの視線の熱さは、不足の深刻さの裏返しだ。
現実を見れば、楽観はとてもできない。主たる支持者ばかりを意識し、安定的な皇位継承という問題に一向に手をつけない安倍政権。「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の付帯決議で指摘された「女性宮家」の検討さえ先延ばしにしている。そして現実の皇室には、皇嗣である秋篠宮家で皇位継承順位2位の悠仁さま(13)が育っている複雑さ。「愛子天皇待望論」だけでは、「解」にならない。
令和になり愛子さまは、ご両親が臨んだ代替わりの儀式を熱心に見たという。18歳の少女に「解」を求める日本の重苦しさ。愛子さまが「愛子帝」のようにたくましい人であるといいのだけれど。僭越(せんえつ)ながら、そんなことを思っている。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より抜粋