18歳を迎えた愛子さまは、即位に伴う一連の儀式に深い関心を寄せていたという/11月25日、赤坂御所で(写真:宮内庁提供)
18歳を迎えた愛子さまは、即位に伴う一連の儀式に深い関心を寄せていたという/11月25日、赤坂御所で(写真:宮内庁提供)
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 芦田愛菜さんを日本初の女性首相、愛子さまを女性初の天皇として描いた現代ファンタジー小説「AAゴールデンエイジ」。KADOKAWAとはてなが運営する小説投稿サイト「カクヨム」で公開され、SNSを中心に話題になった。日本国民が今、「たくましい女性リーダー」を求める背景を読み解く。

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 令和に入り「愛子天皇待望論」が盛り上がっている。朝日新聞社が19年4月に発表した全国世論調査では76%が「女性も天皇になれるようにした方がよい」と答えていたが、10月に共同通信社が発表した世論調査では「女性天皇を認めることに賛成」が81.9%。前述の女性セブンの記事には、「皇室ジャーナリスト」のこんな発言も紹介されている。

<女性天皇容認の機運が高まる背景には、愛子さまの自然な笑顔や気品のある立ち居振る舞いが影響していることは間違いない>

 確かに19年の夏、栃木・那須での静養前に報道陣の前に現れた愛子さまは落ち着いていて愛らしく、今どきの女子高生とはまるで違った。その様子は、令和になってからの雅子さまと大いに重なった。初の国賓・トランプ大統領夫妻を前にした雅子さまは、落ち着きはらい優しさがあふれていた。

 だからだろうか、「愛子天皇待望論」はヒートアップする一方だ。そこでの愛子さまは、「人望があり、英語が得意で運動神経抜群で、チェロの腕前は音大進学を狙えるレベル」。少しはしゃぎ過ぎとも思えるほどだ。

 慶應中等部に通う芦田さんが国民祭典で堂々とお祝いを述べるのを見れば、将来首相になってもおかしくないと思う。愛子さまへの期待もそれと同じで、楽しい夢想というところだろう。そう思う一方で、それだけでは済まない切実さがあるようにも感じ、それはどこから来るのだろうと思っていた。

 12月17日、日本のジェンダーギャップが明らかになった。世界経済フォーラムの19年の報告書で、世界121位だった。主要7カ国で最下位は定位置だが、過去最低順位を更新したそうだ。またIMF統計によると、日本の18年の1人当たり名目GDPは前年より一つ下げて26位。「もはや先進国ではない」という議論をしばしば目にする。二つの数字を重ねると、「男に任せているうちに、どんどんダメになった日本」となる。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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