始まりは1999年の「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」。マフィアのボスをとりまくエグい人間模様をリアルに描いた本作は、ゴールデングローブ賞、エミー賞の作品賞を射止めた。制作したのは米国のケーブル局HBOで、地上波4大ネットワーク以外の局が両作品賞を獲得したのは、史上初という記念碑的作品だった。

 HBOは98年に「セックス・アンド・ザ・シティ」で世界にその名を知らしめ、その後、傑作と誉れ高い「THE WIRE/ザ・ワイヤー」からドラマの常識を覆したファンタジー超大作「ゲーム・オブ・スローンズ」まで話題作を次々と発表。いまでは「HBO作品なら間違いない」というほど信頼される。

 00年代には同じくケーブル局AMCが、60年代のニューヨークの広告業界の人間模様を描いた「マッドメン」や、アメリカのドラッグ地獄を過激に描いた「ブレイキング・バッド」を投下。独創的で質の高いドラマならケーブル局で! が常識になった。

 視聴料で運営されるケーブル局ならばスポンサーや短期的な視聴率を気にせず、新しいことに挑戦できる。視聴者を離したくないので、クオリティーも妥協しなくていい。元気のいいクリエイターにとっては絶好の創作環境だ。(ライター・鈴木あずき)

AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より抜粋

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