SNSを通じ、10代の若者が一夜にして有名になることも珍しくなくなった。「今時の若者は──」という前に彼らのことを知ってほしい。フラットな視線で、自分の道を歩んでいる。AERA 2019年12月23日号から。
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「いえ~い」「さんちゃん!」
大御所芸能人にため口で話す姿がテレビで放送されると、ネットはたちまち炎上した。
本人はというと、「予想通りだった」とけろり。
「気になっているからディスるんです。マイケル・ジャクソンだって、数億人のファンがいたけど、何千万人の人は嫌いだったはず。興味もなく、『YOSHIくんかっこいいね』と言われるほうがつらい」
16歳のアーティスト、YOSHI。3年前、ルイ・ヴィトンのディレクターがインスタグラムに投稿した写真がきっかけでブレークした。
モデルとして、ミュージシャンとして、さらには俳優として、活躍の場を広げてきた。
すらりと長い手足、よく変わる表情、口を開くと一気にあふれる言葉──。一見チャラい若者に見えるが、心は熱い。嫌いなものは「フェイク」で、重視することは「リアル」だという。
「いまって、ネットにいろんな情報が積み重なっていて、リアルがない。有名だから仲良くするとか、とりあえず敬語を使っておけばリスペクトしていると受け止められるとか、それって全部フェイクでしょう」
では、リアルとは?
「生身の人間の土臭さや魂、ハートが伝わってくるのが、リアルだと思うんですよ」
人間同士のやりとりに、価値を見いだしている。何より大切にしているという地元の友人たちは、軒並み年上で30代が多い。知り合うきっかけは「デヴィッド・ボウイみたいな髪形をしていたら、ほめられて」。
出会った人たちをつなぐのも使命だという。最近も、地元の銭湯の“じいちゃん”と大手企業の“偉い人”を結びつけた。
「どっちも78歳。銭湯のじいちゃんはすごく元気で格好いいんです。『YOSHI、おれは年金を使い切ったぞ』『カラオケで友だちを招いてパーティーをやった』って。全力でみんなをハッピーにして、先のことは考えない。これは勝てるもんじゃない。偉い人は最近入院していたから、ちょっとでも元気になってほしいなと思って」