検診では正常値でも職場にいるときに血圧が上がる職場高血圧。状況や感情の変化による一時的な上昇であれば問題ないが、長時間続けば血管に負担がかかり疾患を招くリスクになる。実際、職場で血圧はどのように変化するのか。AERA 2019年12月23日号では、編集部員が血圧計を装着して測定した記録を紹介する。
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『ズボラでも血圧がみるみる下がる49の方法』などの著書がある渡辺尚彦医師は、1987年8月から30年以上にわたり、携帯型連続血圧計を装着して24時間血圧を測定し続けている。
「人間の生命活動のほぼすべては、血圧に反映されている。血圧は自分を映す鏡です。病院や健康診断などでたまに測るのではなく、日々継続的に測ることで、病気の発見や生活習慣の改善につながります」(渡辺医師)
高血圧が疑われる患者には最長で1週間測定してもらうことがある。24時間血圧の平均値が130/80mmHg以上であれば、生活習慣指導など何らかの治療を開始するのが基本だという。
編集部では渡辺医師から血圧計を借り、約2日間にわたり血圧を測定してみた。試したのはデスク(女性/41)と記者(男性/53)の2人。共に血圧検査で過去に引っかかった経験もなく肥満体形でもないが、もしかしたら「編集部にいるときは血圧がやけに高い」などの結果が出るかもしれない。
写真のように血圧計を首からぶら下げ、左の二の腕にカフを巻く。入浴時に外すほかは、ずっとこの状態で過ごす。30分ごとに自動計測するので、睡眠中の血圧もわかる。並行して「13時30分、食事」「15時、編集長に呼ばれる」などの「行動記録」もメモしておく。
血圧の24時間の平均はデスクが108/65mmHg、記者が104/69mmHg。2人とも正常値で、どちらかというと低血圧傾向。寝ているときは低く、起きているときは高い。行動も血圧に影響しており、インタビュー取材が始まった時には血圧が上がり、取材が終盤に差しかかると気持ちが落ち着いてきたのか血圧が下がっていた。仕事の合間に歯磨きをしたときや、鼻血が出るというアクシデントが起きたときにも血圧が上がっていた。