極めつけは、6年生の研究の集大成、「三宅島活性化計画」である。

 授業には保護者はもちろん、教育委員会幹部の方々、村役場の観光課長も参観し、子どもたちの島に対する熱い思いのプレゼンを聞き入っていた。

 この単元では、教師からの問いかけをもとにして「実社会の中から問いを見出し、自分で立てた課題を解決する事を楽しむ」ことを目指している。その解決策を表現するツールとして、プログラミング教材をどう活用するかがポイントとなる。

 タブレット上だけではなく、ロボットを実際に動かして発表する子、ドローンを飛ばした様子を動画で発表する子、至るところにICT活用能力が発揮されていた。

 5年生同様、こちらも島の生活実態に合わせた課題解決が特徴だった。島の名産品である「牛乳煎の自動紙包み機」や、「島から離れた漁場の様子を随時伝えるドローン撮影」、「野鳥の鳴き声判別ツール」など、魅力満載の発表で、まるでベンチャー企業のコンテストを見るようだ。

 観光課長さんが真剣に「すぐにでも商品化したいものもある。すぐにでも一緒に働いて欲しいぐらいだ」と語っていたのが印象的だった。

 当然、子どもたちも大人が真剣に対応してくれる空間と時間に、この授業の大きな価値を見出していたはずである。

 私の期待以上のここまでの成果が現れたのは、三宅島という立地環境によるところも多いだろうが、やはり、先生と子どもたちの日々の学校生活でのコミュニケーションが背景にあると思う。

 そして、いち早く「一人一台端末」を実現できている環境も大きいだろう。

 先月、やや唐突感をもって発表された政府の方針「一人一台端末」の話は、この2年間の三宅小学校で「一人一台端末」の実践の成果を見ると、是非とも早い時期に政府から具体的なロードマップが示され、実現に向けて動いてほしいと強く思う。

「冬の三宅の魅力は、何といっても満点の星空です」

 三宅小学校の副校長先生が、灯り一つない夜の海岸で呟いていた。三宅島の可能性と魅力はどんどん私の中でも広がっている。次回は出張ではなくプライベートで訪れようと思っている。

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