SoggyCheeriosの新アルバム最新作「III(スリー)」(Pヴァイン提供)
SoggyCheeriosの新アルバム最新作「III(スリー)」(Pヴァイン提供)
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Soggy Cheeriosの二人。鈴木惣一朗(左)と直枝政広(Pヴァイン提供)
Soggy Cheeriosの二人。鈴木惣一朗(左)と直枝政広(Pヴァイン提供)

 80年代から活動するキャリアたっぷりの2人のミュージシャンが2013年に組んだユニット、Soggy Cheerios(ソギー・チェリオス)。普段はカーネーションのソングライター、ヴォーカリスト、ギタリストとして活動する直枝政広と、WORLD STANDARD(ワールド・スタンダード)名義での作品リリースのほか、プロデュースや執筆などでも活躍する鈴木惣一朗。ロックやポップ・ミュージックを骨の髄まで知り尽くした旧知の2人が、3作目のアルバム「III(スリー)」を発表した。

ベテランの2人だが、やんちゃ坊主の一面も

 13年に発表した「1959」、15年に発表した「EELS & PEANUTS」と決定的に異なるのは、最新作「III(スリー)」を制作した今年、2人がそろって還暦を迎えたことだ。そう、2人はともに1959年生まれ。日本の一般社会では定年、退職となる人が少なくない節目の年齢である。

 来日が決まったボブ・ディランやポール・マッカートニーが今なお現役で活躍していることからもわかるように、ミュージシャンの「寿命」もここ20年ほどで延びている。60歳などまだまだ若い部類に入るとは言え、ビートルズの活動にリアルタイムで間に合った直枝も鈴木も、実際には音楽シーンでベテラン扱いされている。

 彼らがライブで共演したり、プロデュースしたりするアーティストには、自分たちの半分くらいの年齢、子どもくらいの年代の者も多くなってきた。そうした若いミュージシャンたちに取材などで話を聞くと、直枝や鈴木の活動に影響を受けたと目を輝かせる人が少なくない。

 確かに2人は1960年代~70年代のロック黎明期への絶対的な憧れと忠誠を忘れないロマンチストだ。直枝は出演するボブ・ディランを目当てに昨年、フジロックフェスティバルにまで足を運ぶ情熱家だし、鈴木は愛情と研究熱が高じて細野晴臣にまつわる書籍を多数出版している。それぞれに体を張って、自分たちの「先輩」の意志を受け継ごうとしていると言っていい。

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岡村詩野

岡村詩野

岡村詩野(おかむら・しの)/1967年、東京都生まれ。音楽評論家。音楽メディア『TURN』編集長/プロデューサー。「ミュージック・マガジン」「VOGUE NIPPON」など多数のメディアで執筆中。京都精華大学非常勤講師、ラジオ番組「Imaginary Line」(FM京都)パーソナリティー、音楽ライター講座(オトトイの学校)講師も務める

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