「男性更年期障害はうつ病などと混同されるケースが多くあります。心療内科で治療しても症状が改善しない場合、テストステロン値を測ってみてもいいかもしれません」(井手医師)
堀江医師は、テストステロン値低下の一番の要因として、「自己実現・自己主張の機会の減少」を挙げる。
「テストステロンは、自己実現や自己表現ができていると高まります。しかし、できないと数値が下がり、さらにできなくなる悪循環に陥ります」
職業的に見ると、デザイナーやアーティストなどクリエーティブで自己表現が大切な職種の人ほどテストステロン値が高く、事務員のように同じようなことを繰り返すことが多い職業では低い傾向があるという。
テストステロン値の低下を食い止めるには、「自分を評価してくれる場所」をつくることだ。仕事にせよ、趣味にせよ、評価される場所があれば、テストステロン値は上がりやすい。
「適度な運動や筋トレによってテストステロン値が上がることや、睡眠不足によって下がることも、データによって証明されています。十分な値を維持できれば、年を重ねても心身ともに元気に生活できる可能性は大いにあります」(堀江医師)
(編集部・川口穣)
※AERA 2019年12月9日号より抜粋