日本産ビールの販売中止を知らせる掲示がスーパーの飲料コーナーに貼られたのは7月上旬のことだった/7月6日、ソウルで(C)朝日新聞社
日本産ビールの販売中止を知らせる掲示がスーパーの飲料コーナーに貼られたのは7月上旬のことだった/7月6日、ソウルで(C)朝日新聞社
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「日韓交流おまつり」は、日韓の太鼓の共演で始まった/9月28日、東京・日比谷公園で(C)朝日新聞社
「日韓交流おまつり」は、日韓の太鼓の共演で始まった/9月28日、東京・日比谷公園で(C)朝日新聞社

「過去最悪」とされる日韓関係。私たちの身の回りでも、変化は起きているのか。取材すると、「嫌韓」は家庭の中にまで入り込んでいた。

【写真】「日韓交流おまつり」の様子

「全部、韓国が悪いんだよ」「こいつら何もわかっちゃいないな」

 静岡県内の30代の男性公務員は、テレビを見ながらつぶやく70代の父親の言葉にうんざりさせられている。韓国に関するテレビニュースが流れるたび、父親が茶の間で「嫌韓」を露わにするのだ。男性はこう嘆く。

「父はもともと保守的な考えをもっていましたが、私や母はどちらかというと逆。なので、父は私たちの前では控えているつもりのようですが、口をついて出るんですよね」

 父親の「嫌韓」は定年退職後、さまざまな市民活動に頻繁に顔をだすようになって顕著になった。そんな父親の言動を、同年代の母親は「そういうこと言ったらダメだよ」とやんわりたしなめていた。ところが最近は、母親にも異変が生じているという。

 きっかけは、韓国大法院(最高裁)が日本企業に1人1億ウォン(約910万円)の支払いを命じた昨年10月の元徴用工訴訟判決だ。この訴訟をめぐる動きが盛んに報じられるようになると、母親も「ちょっとこれはねえ。(韓国とは)話が通じないんじゃないの」とこぼすようになった。

 母親の変化が「ショックだった」と打ち明ける男性は、今の日本社会のムードについてこんな見方を示す。

「とくにネットでは、韓国を低く見るようなコメントが目につき憂慮しています。韓国を批判しておけば、とりあえずある程度の支持を得られると考えている人が多い。そして、少しでもそれを批判すれば、たちまち『反日』といったレッテルを貼られる傾向にあります」

 男性は、日韓の政治的な駆け引きを「勝ち」「負け」や優劣で論じる風潮にも違和感を抱く。

「日本の国内では、かなりの人が日本のほうが優位だと考えているようですが、国や民族の関係において、どちらが優秀かなんて考えること自体、逆にレベルの低さを感じます」

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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