最近、国際関係の大学や学部の人気が低迷している。東京外国語大学(東京都府中市)の2023年度前期日程試験の志願者は前年度比で74%に急減した。倍率が1.1倍の専攻もある。コロナ禍による各国の出入国規制が長引き、若者が海外と接触する機会が失われたことが大きな原因だという。さらに、今春から数学の2科目受験を必須としたことが影響した、という報道もある。なぜ、東京外語大は数学を重視するようになったのか、青山亨副学長に聞くと、近年、人文社会系の学問の世界が大きく変わり、同大がデータサイエンスの最前線にあることを強く感じた。
* * *
東京外語大は23年度入試から大学入学共通テストの利用科目「数学」を1科目から2科目に増やした。
従来は「数学(1)(数学I・数学Aなど)」「数学(2)(数学II・数学Bなど)」のいずれかを課していたが、今春からは両方の受験を求めるようになった。
「やはり、数Iだけでは不十分なので、数IIも課すことにした、ということです。このレベルの数学はきちんと学んできてくださいという、本学からのメッセージでもあります」
と、青山亨副学長は語る。
背景には人文社会系の大学や学部であってもデジタル技術や数理的な発想が不可欠になっていることがある。
「文系だから数学は関係ない、というのは、今ではまったく通用しない話だと考えています。教育や研究のあり方にしても、データサイエンスを入れていく必要性を強く感じています」
言語学にとって超強力ツール
今、デジタル人材の需要増を見据えて、各大学で情報・データサイエンス系学部の開設が相次いでいる。
文部科学省も「数理・データサイエンス・AI」をデジタル時代の「読み・書き・そろばん」と位置づける。その施策の一つが大学などで始まった「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」だ。
「本学もこの制度への認定申請の手続きを進めているところで、すでに申請の要件を満たしております」と、青山副学長は言う。
それが昨春から始めた「TUFSデータサイエンス教育プログラム」、通称「たふDS」である。