「働き方改革」のなかでテレワークに注目が集まる中、街中には快適な働き場所がたくさん誕生している。それぞれのワーキングスペースを訪ね、仕事のはかどり度合いを探ってみた。AERA 2019年11月25日号に掲載された記事を紹介する。
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伸びをしてあたりを見渡すと、窓の外はすっかり薄暗くなっていた。14時過ぎまで取材をし、そのまま原稿を書くこと3時間。隣のブースでキーボードを叩いていた女性はいつの間にかいなくなり、フロアにいるのは記者ひとりだけだった。これだけ長時間集中して仕事をしたのは久しぶりな気がする。鳴り響く電話もなければ、企画の進捗状況をせっつく上司もいない。
この日仕事をしていたのは、東京・渋谷のデザイナーズカプセルホテル「ザ・ミレニアルズ渋谷」内のワーキングスペース。ロビーやイベント用のフロアをワーキングスペースとして開放しており、利用料を支払えば宿泊客以外も利用できる。120人収容というイベントフロアには、4人掛けのブース3、ソファ席5、テーブルを囲む椅子やハイスツール席が20少々。これらがかなりゆとりを持って配置されている。ホテルを運営するグローバルエージェンツの伊藤実萌さんによると、1日の利用者は5~10人程度だという。
ゆとりあるスペースに少ない利用客。運営は大丈夫なのだろうか。
「ホテルの空きスペースを使っているので、ある程度収支から離れ、デザイン性やゆとりにこだわることができたんです。“ライフスタイルホテル”という位置づけなので、宿泊客でない方にもフラッと来て利用してほしい。ホテルのなかに、遊びと仕事、どちらの風景も取り込みたいという狙いもあります」(伊藤さん)
ホテルならではのサービスもある。朝7時半~9時半には宿泊客と同じ朝食が食べられる。コーヒーやカプチーノは終日飲み放題で、17時半から18時半にはビールのサービスまである。別料金だがシャワーも使える。