紀平は、「4回転を成功した時の感覚は身体が覚えているので、イメージを固めてタイミングをつかめば、力は足りています」と力強く語った (c)朝日新聞社
紀平は、「4回転を成功した時の感覚は身体が覚えているので、イメージを固めてタイミングをつかめば、力は足りています」と力強く語った (c)朝日新聞社
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4回転女王のトルソワ。「トリプルアクセルもステップアウトで降りていますが、だんだん感覚はよくなっています」と話した (c)朝日新聞社
4回転女王のトルソワ。「トリプルアクセルもステップアウトで降りていますが、だんだん感覚はよくなっています」と話した (c)朝日新聞社

 フィギュアグランプリ(GP)シリーズ・カナダ大会が10月28日(日本時間)に閉幕した。ロシアの新星・トルソワ選手がフリーで4回転3本を成功し優勝。トリプルアクセルを武器にするも2位に終わった紀平梨花選手が心境を語った。AERA 2019年11月11日号に掲載された記事を紹介する。

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「女子は新時代だなと感じました。まずけがを治して、早く4回転の練習をしたいです。いち早く習得するために、強い意志を持って毎日練習したいです」

 こう話すのは、昨季のGPファイナル女王の紀平梨花(17)。自身のGP初戦となるスケートカナダで、ショート、フリーともにトリプルアクセルを決めるも2位。4回転3本を成功させたロシアのアレクサンドラ・トルソワ(15)が優勝した。トリプルアクセルだけでは勝てない、女子の戦国時代を象徴する一戦だった。

 ショートは、力強いトリプルアクセルを決めた紀平が、一歩リードでスタートした。冒頭で流れのある大技を降りて、81.35点で首位。女子ショートは規定により4回転を入れられないため、4回転クイーンと呼ばれるトルソワも、ノーミスながら74.40点での3位発進となった。

 2人に割って入ったのは、トリプルアクセルを成功させた韓国のユ・ヨン(15)。バンクーバー五輪のキム・ヨナを見てスケートを始めた新星だ。今夏からは紀平と同門となり、刺激しあって練習してきた。

 ショート首位発進にも紀平は気を引き締めた。

「GPは勝ち進まないといけない重要な大会。順位を意識してしまうところはありますが、フリーはもっと自分に集中したい」

 しかしフリーは、トルソワの4回転が炸裂した。紀平の前の滑走順だったトルソワは、冒頭の4回転サルコウこそ転倒したものの、すぐに気持ちを立て直し、4回転ルッツ、4回転トウループ2本を次々と着氷。超人的な内容をさらりとこなした。演技後、疲れた表情さえ見せず、観客席に手を振る。フリー166.62点、総合241.02点で世界最高得点を更新した。

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