開幕前、この熱狂をどれほどの人が予想していただろうか。初めてアジアで開催されたラグビーワールドカップ日本大会。日本代表が強豪国を次々と破り、初のベスト8入り。列島を真っ赤に染め上げた。準々決勝で敗れたものの、自国開催の重圧を力に変え、大躍進を遂げた勇敢な桜の戦士たち。AERA2019年11月4日号では、日本ラグビーの新たな歴史を刻んだ彼らの戦いを写真特集で振り返っている。
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世紀の番狂わせとも言われた「ブライトンの奇跡」から4年。今大会の日本の快進撃は、奇跡ではなく、実力で勝ち取ったものだ。世界ランキングで一時6位まで上り詰めた日本の強さの原動力は何だったのか。
ひと言で言うなら、「ONE TEAM」の結実だ。
登録メンバー31人中、半数近い15人が外国出身。7カ国から集まった多様なルーツを持つ選手たちは「世界一のフィットネス(持久力)」を目指した“地獄”の宮崎合宿などを通して強靱な肉体を作り上げ、年間240日以上を一緒に過ごす中で結束していった。スクラムを率いる稲垣啓太が「本当に家族のように思ってきた」と評する強い団結力は、体格で勝る世界の強豪を打ち破る原動力となった。
ジェイミー・ジョセフ監督が育んできた選手たちの自主性も、攻撃のバリエーションを生んだ。ときにパスをつないでボールを保持し、ときにキックで混沌をつくり、勝機をうかがう。選手個々が瞬時に判断できる力がなければ実現できなかった。
そして、信じる力。開幕時点で世界ランク1位だった強豪のアイルランドとの戦いでさえ、選手たちは勝利を疑わなかった。
努力し、自らを信じる。その大切さを彼らが教えてくれた。(編集部・深澤友紀)
※AERA 2019年11月4日号