アジア、とりわけ東アジア~東南アジアの新しいバンドや若いアーティストが日本でライブをする機会が増えている。気がついたら、日本のさまざまな町のライブハウスやイベントに、当たり前のように出演するようになっていることが、とても興味深い。
【画像】来日経験もあるスキップ・スキップ・バン・バンこと林以樂はこちら
今年のフジロック・フェスティバルやサマーソニックといった大型音楽フェスにも多数のアジア勢が出演したが、自然発生的にいつのまにか増えていた、という印象だ。
今や韓国、中国、タイ、フィリピン、シンガポールなど国ごとに少しずつ傾向や特徴がつかめるようになってきた。そんな中でもとりわけ注目したいのは、台湾で独自の世界観や音楽性を確立しているインディー・ミュージックだ。
特に今年のフジロックにも出演し大盛況だった落日飛車(サンセット・ローラーコースター)は、すでに台湾国内を超えて注目を集めている人気アクト。これまでに何度も来日公演を行い、日本のバンドと共演も果たしている。彼らは1970~80年代のAORやシティー・ポップ再評価と符合するかのようにメロウなブラック・ミュージック・タッチの曲を聴かせてくれるバンドだ。
そんな落日飛車とともに日本でもリスナーを増やしているのが、女性ボーカルのエイミーを中心としたギター・バンドのDSPS(ディーエスピーエス)だろう。美しくも人懐こいメロディーと歌にギターのフレーズやリズムが多層的に絡んでいく様子は、清廉であり情熱的でもある。
要だったギタリストが脱退してしまったが(現在はサポートを加えて活動中)、先ごろリリースされたミニ・アルバム「Fully I」は、旋律にゆるやかに乗っかった演奏と、中国語、英語それぞれに歌うエイミーのやわらかな声質によるハーモニーに心揺さぶられる5曲が揃った好盤だ。
また、こちらも日本には何度も来日経験のあるスキップ・スキップ・バン・バンこと林以樂(リン・イーラー)は、初めて本名名義でソロ・シングル「L.O.T.」(7インチ・レコード)を10月9日にリリース。ソフトで心地よいメロディーとドリーミーな風合いのボーカルが、かつて日本に暮らしたこともあり、日本語も達者で日本の文化にも精通した彼女の横顔をフォーカスさせていく。