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早朝の出張で一日動き回る場合、前日と当日の食事でどんなことに気を付ければいいのか。出張の前後に陥りがちな便秘対策も併せてレクチャーする。AERA 2019年10 月7 日号に掲載された記事を紹介する。
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「出張で早起きしなければならない日の前日は、食べ過ぎ、飲み過ぎないように心がけています」
川崎市のフリーライターの女性(36)はそう話す。
「大正解です。夕食には眠りの質を上げる、消化のよいものを選びましょう」(スポーツ栄養アドバイザーの石川三知さん)
おすすめは野菜やキノコがたっぷり入った鍋や煮込みうどん。出汁の香りには、脳の興奮を鎮める作用がある。地味な色合いの料理は、視覚刺激が少なく、消化もよく、睡眠を阻害しないものが多い。
反対に避けたいのは、脂質の多いもの。食べ物が胃に停滞する時間は、炭水化物→たんぱく質→脂質の順に長くなる。ご飯やパンが2~3時間なのに対し、ステーキや天ぷらは4時間以上もかかり、睡眠の質が悪くなる。
気合を入れて早めにベッドに入ったものの、眠れないこともあるだろう。空腹を感じたら、我慢せず、ホットミルクや甘さ控えめのホットココア、みそ汁程度なら食べても大丈夫。温かいものを胃に入れることで交感神経が鎮まり、副交感神経に切り替えることができる。
朝から歩き回るなら、エネルギーを満タンにしたい。家で朝食をとる時間がなくても、新幹線や飛行機のなかで栄養補給をしよう。バナナやおにぎりの他、ゆで卵、ヨーグルトなど、駅やコンビニで買えるものでもたんぱく質は補える。
出張先ではご当地料理を楽しみたいものだが、乗り物に揺られて消化器官は疲労している。羽目をはずすと調子を崩して仕事の目的を果たせなくなる。暴飲暴食は控えよう。
出張の前後は便秘気味になる人も少なくない。自律神経研究で知られる順天堂大学医学部教授の小林弘幸医師(59)は、寝る前にオリーブオイルや亜麻仁油など、スプーン1杯の上質なオイルをとることをすすめる。
「オイルが腸に届くと、腸内の潤滑油になって便をやわらかくコーティングし、出やすい状態にしてくれます」
カロリーが気になる人もいるかもしれないが、スプーン1杯程度なら問題ないという。腸内環境をよくし、副交感神経の働きを上げて自律神経を整える効果も期待できる。(ライター・井上有紀子、編集部・野村昌二)
※AERA 2019年10月7日号より抜粋
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