やる気が出ず疲れも取れない、加齢臭も気になり出した。一見、関係ないように見えるが、どちらもビタミン不足の可能性がある。どんな栄養素を何の食べ物で補うべきなのか。心療内科医の姫野友美医師に聞いた。AERA 2019年10月7日号に掲載された記事を紹介する。
【図表で見る】血液検査の結果からわかる足りない栄養素・健康状態はこちら
* * *
やる気が出ない、寝ても疲れがとれない、記憶力が低下した……こんな症状はビタミンB群不足のサインかもしれない。
「ビタミンB群はたんぱく質、糖質、脂質をエネルギーに変えるために不可欠な栄養素。脳の神経伝達物質の産生にもかかわるため、不足するとやる気や集中力の低下を招きます」(心療内科医の姫野友美医師)
とくに、豚レバー、カツオ、マグロ、ピーナツ、玄米などに含まれるビタミンB3(ナイアシン)が不足すると、うつに進む可能性があるという。
意外なところでは、加齢臭も食べ物に関係しているという。皮膚の皮脂腺から出る脂肪酸が酸化することで独特の「おやじくさい」においが出ると考えられているが、体に活性酸素が発生していることが主な原因だ。男性の悩みとされがちだが、女性も加齢で体臭に変化が表れる。
「消臭スプレーを吹きかけるより、抗酸化ビタミンといわれるビタミンA、C、Eを含むナッツや緑黄色野菜などを積極的に摂取しましょう。においだけでなく、細胞のさびつきを抑え、血管障害を予防してくれます」(同)
足りない栄養素は、会社や自治体が実施する健康診断の血液データから予測することもできるという。栄養素と食事によって心と体を改善する療法「オーソモレキュラー栄養医学」の考え方に基づいた「理想値」から判断するため、通常の検査基準とは数値が異なる。
「中性脂肪が低すぎ。たんぱく質不足です」
開口一番、記者の健康診断結果を見た姫野医師はそう言った。
健康診断の基準値では「150mg/dl以上」で保健指導判定値となって“イエローカード”が出るが、記者は40mg/dlと基準値を大きく下回っている。これはかなり優秀と安心していただけにショックだった。