「背番号」といえば選手の持ち番号の印象が強い。だが、ラグビーは違う。試合着の準備も一苦労なのだ。AERA2019年10月7日号では、盛り上がるラグビーW杯の舞台裏を特集。ここではラグビージャージ―の意外な事実を紹介する。
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ラグビーを見ていて、「おや?」と思った人もいるかもしれない。野球やサッカーなどと違い、ジャージーには背番号だけで選手の名前がないことを。
ラグビーでは、背番号が選手個人ではなく、ポジションにつく。1番がプロップ、2番がフッカーなどと決まっていて、15番フルバックまでが先発メンバー。16番から23番がベンチ入りの控え選手だ。対戦相手や選手の状態で試合ごとにメンバーが変わるので、それにあわせて選手の背番号も変わるのだ。
先発メンバーと控え選手計23人は試合開始の48時間前までには発表されるルールになっている。ジャージーの背番号は発表を待ってつけるのだろうか。
1997年から日本代表ジャージーを提供するカンタベリーオブニュージーランドジャパンに聞いてみると、同社では試合の約1週間前に登録選手を大方予想して、そのサイズに合った背番号付きジャージーを納品しているとのこと。先のとおりメンバーは試合ごとに変わるので、1ポジションごとに、その番号をつけることが予想される選手分2サイズを用意。選手1人に前半、後半用として2枚必要なので、2サイズ×2枚×23枚で、なんと1試合あたり100枚近い数のジャージーを納品する。ちなみに、ジャージーには日付や対戦相手、場所がプリントされていて、試合後に対戦相手と交換することもあるため、各選手に2枚ずつ配布するという。
予想が外れたときは、予備用のジャージーに背番号をつけて追加納品する。
「サッカーのように持ち番号制だといいんですけどね」
と話すのは販売促進グループの鴛淵文哉(おしぶちぶんや)さん(44)。担当して20年。ほとんど外れたことはないというが、メンバー発表の日は朝からそわそわするそうだ。