想像を絶する過酷な仕事を、小島さんは5年も続けている。
「孤独死で亡くなった人の部屋を片付けるとき、その人が自分の親だったと思ってやっています。嫌がる人は多いけど、自分の家族だったら、嫌じゃないし、汚いとか思わないじゃないですか。他人だと思うから気持ち悪いとか、呪われるとか思うんじゃないかな。呪われませんかって、よく言われるんです。でも自分が亡くなる側だったとして、片付けてくれる人のこと、呪いませんよね?」
小島さんがこの仕事を始めようと思ったきっかけも、父親の死だったという。高校2年の時に脳卒中で亡くなった。2カ月ほど母と別居しているときで、母が離婚届を届けに行ったら、アパートで倒れていたという。
そのまま気づかれなければ、孤独死になっていたかもしれない。そのことをずっと気にかけていたときに、この仕事があることを知った。
「遺品整理を頼んだ人が悪徳業者に高額な請求をされたり、思い出の物を壊されたりということもあると知って、許せないと思ったんです。私なら遺族の気持ちがわかるんじゃないかって」
小島さんは、仕事への覚悟を決めるため、自分を試す期間として2年を費やしたという。
「この仕事に就いている人の本を読んだり、もしかしたら現場に遺体があるかもしれないと思っていたので、事故の写真や遺体の写真をネットで見て耐性をつけたりしました」
反対していた母親も説得し、2年後、現在勤務するToDo‐Company(トゥードゥーカンパニー)の扉を叩いた。
始めてみると、理想とは全く違ったという。何よりつらいのは、人の裏の顔を見る瞬間だ。
「誰かが亡くなると、みんな悲しむものだと思っていたんですが、違いましたね。人は亡くなると、お金になってしまうのかなって思うんです。結局、お金を残した人は、子どもに持ち上げられるし、お金を残せなかったり借金があったりすると、恨まれてしまう。そういう裏の顔を見て辞めていく人もいます」