40代女性は公私ともに忙しさに追われる時期。脂がのっている今だからこそ、趣味などでパワーチャージが必要だという。キャリアを身につけ躍進する二人の女性の「自分時間」の過ごし方とは。AERA 2019年9月16日号に掲載された記事を紹介する。
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一日思いきり働いて脳がパンパンの状態のまま帰宅する。頭も体も疲れているはずなのに、パソコンの前に座り、YouTubeを立ち上げ、広島カープの選手たちのプレーを見る。日本生命の健康経営推進部長の中林ルミさん(47)にとって、ここからが自分だけの特別な時間だ。
「プレーを見て、気づいたら感動で涙していることもあります。過去のプレーや気に入った映像を何度も見直すことも。何かに熱中する、ということはもうないかな、と思っていたのですが」
6年ほど前、同じ部署にいた後輩がたまたまカープファンだったことがすべての始まり。
「ナイターを観に行くから一緒に行きません?」
野球にもスポーツ観戦にも特別興味を持ったことがなく、誘われても「屋外で飲み会をするのね」くらいの感覚だった。
「最初は『あの選手、よく打つな』くらいにしか考えていなかったのですが、次第に夜のプロ野球ニュースで、知っている選手が取り上げられていると『あっ!』と反応するように。スポーツニュース一つにしても、見方が変わっていったんです」
もっと多くの映像を見ることができるなら、といままで使ったこともないアプリもダウンロードしてみた。社内で話したことのなかった先輩や後輩が「カープファンなんでしょ、私も」と声を掛けてくれることも。そして何より、マネジメントの立場だからこそ得られる気づきがある、と感じている。
「選手はどういう気持ちでプレーしたのかな、と考えると、『私の部下は、どんな気持ちで仕事をしているのか』とまで、考えを及ぼすようになりました。苦手意識があるのかな? プレッシャーなのかな?と思うように。それが正しいとは限らないのですが、想像を広げることができるようになりました」