正式名はアカムツ。口を開くとのどが黒く見える(写真/筆者提供)
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脂の乗ったのどぐろを炙った握り寿司(写真/筆者提供)

 私たち日本人は季節に合わせて様々な魚を食べていますが、中には、食べたいと思ってもなかなか口にすることのできない高級魚も存在します。

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「幻の高級魚」と言われて、皆さんはどんな魚を思い浮かべますか?

 筆者がまずあげるのは、「のどぐろ」です。

 5年ほど前に富山県に旅行した際に、初めてのどぐろの塩焼きを食べて衝撃を受けたのを明確に覚えています。「白身魚の塩焼きなのにこんなに脂が乗ってて、しっとりとして美味しい魚があるんや!」と。

 のどぐろの正式名は「アカムツ」で、一昔前までは全国的には知名度がなく、築地などではほとんど値段もつかないことから、産地である北陸や山陰地方の地元で食べられていた魚でした。

 状況が一変したのは15年ほど前でした。あるテレビ番組で紹介された際に、出演者全員が絶賛したことから人気に火が付き、全国から注文が殺到したそうです。

 元々漁獲量がそれほど多くなかったため、需給のバランスが崩れて一気に幻の高級魚と呼ばれるようになった魚なんです。

 さらにテニスの錦織圭選手が、2015年に全米オープンで準優勝した際に「地元の島根に帰ったら、ぜひのどぐろを食べたい」とインタビューで語ったことも、人気に拍車をかけたようです。

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