今やお寿司は日本を代表する料理として、世界中の人々から認知され、愛されています。ある調査によると、年間3千万人を超える海外からの観光客の皆さんが、「日本に来て食べたい料理」の1位は、「お寿司」とのことです。
話は若干変わりますが、先日スイス人の友人とスイスの代表的な料理である「チーズフォンデュ」を食べに行ったときこんなことを言われました。
「日本ではチーズフォンデュの具として、ウィンナーソーセージをはじめ、ブロッコリーやニンジンなどの野菜などいろんなものを使ってるけど、スイスでは考えられない。スイスでは、バゲットとジャガイモ以外は使わないから…」
私はこう答えました。
「日本人は、創意工夫が得意だから、世界各国の料理に工夫を加えて、オリジナリティーを出してるねん。例えば、スパゲティでも、ナポリタンはイタリアにはないというし、カレーライスやラーメンも、インドや中国のオリジナルのものとはまったく別物になっているからね」
その夜はチーズフォンデュを食べながら、世界の料理談議に花を咲かせました。
そんな「創意工夫が得意」なはずの日本人ですが、ことお寿司については、海外で「日本では考えられない」と驚くほどの進化をとげ、現地では大人気の定番となっているものがあるんです。
それは「ロール寿司」と呼ばれるものです。日本語にすると「巻き寿司」なんですが、日本の巻き寿司とは違って、外側にご飯があり、その内側に海苔、そして真ん中に具材という順序で巻かれています。そう、海苔とご飯の順序が逆なんです。日本では「裏巻き」と呼ばれる巻き方です。
ロール寿司のルーツは、1963年にアメリカのロサンゼルスのスシバーで出されていた「カリフォルニアロール」だそうです。
アメリカ人が黒色の海苔を気味悪がって、巻き寿司の海苔をはがして食べていたのを見たロサンゼルスの寿司職人が、海苔を内側に巻き、具材にはアメリカ人の好きなアボカドとタラバガニを巻いて提供したところ非常に人気がでて、その後1980年代までに全米に広まっていったと言われています。