

7月後半になっても梅雨が明けず、涼しい日が続いている。気候に大きく価格が左右される農産物。今、市場はどうなっているのか。
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もう7月の後半だというのに、夏の気配がない。関東甲信から東北地方を中心に、日照時間が短く気温の上がらない「梅雨寒」が続く。東京都心では7月16日まで20日間連続で、1日の日照時間が3時間未満。日本気象協会の統計史上初めてのことだ。
東京都内で唯一、海水浴が楽しめる「葛西海浜公園」では、同15日に「海開き」をしたものの、客足は「まだかなり少なめです」と担当者は言う。
「例年のこの時期に比べると4割ほど。梅雨明けも遅れそうですし……待ち遠しいのですが」
日照不足は夏の消費にさまざまな影響を及ぼしている。たとえば野菜。夏野菜を代表するピーマン、ナス、キュウリの値上がりが顕著だ。
東京都内にある「小金井八百屋やおつる」では、取材した17日時点でキュウリは通常1本30円ほどのものが70~80円。ナスは5本入り1袋198円が400円。ピーマン1袋は底値が40円ほどのところ、98円。いずれも倍以上だ。オーナーの松江鶴人さんはこう話す。
「ピーマンやナス、キュウリというのは、花がついて実を結び、ふくらむまでの周期が短い。本来は次から次へと収穫してどんどん出荷するのですが、日照不足で花が咲かず、なかなか出荷ができない。次の花も咲かない。サイクルが滞ってしまって、生産量に影響が出ています」
同店では「仕入れを頑張って」(松江さん)価格を抑えめにしているため、「ピーマンもキュウリも利益はほぼゼロ」(同)の状態だという。
客からも「野菜が高い」という話はよく出るという。
「キュウリをふだん5本買うところ2本、1本にしているという方もいます」(同)
一方で、涼しいことで安く買える野菜もある。都内にある「生鮮市場さんよう」を経営する新妻洋三さんはこう話す。
「レタスは涼しい高冷地で取れる高原野菜。年によっては1個300円ほどしたときもありますが、今年は4分の1程度の77円です(18日時点)。今はレタスがお買い得です」