放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、時代と仕事のやり方について思うこと。
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今田耕司さん主演で僕が作・演出する舞台「正偽の芸能プロダクション」が無事終わりました。今田さん、舞台稽古中に誕生日を迎えてなんと57歳。ヤングです。感覚もお肌も。飲みに連れて行っていただくと深夜3時まで飲む時もあり。常々、今田さんは僕に「生き残るには体力」と言っていて。体が無事だったらなんでも出来るんだよなと自分も50を過ぎて痛感しています。
今回は芸能プロが舞台で、今田さんが演じる役は芸能プロダクション社長です。以前は、かなり怖くてテレビ局にもかなりのパワーファイトでごり押ししていたという人。
ずっと育ててきた俳優さんと一緒に独立するのですが、その俳優が約束を破って、若い女性モデルと付き合い、妊娠してしまう。それを機に物語が悲しい方向に展開していくのですが・・・。この俳優に今田さん演じる社長が激怒します。恋愛するなと言ってたのに恋愛したこと。
残酷な世界だなと思いますが、僕の知り合いの俳優さんも、結婚した途端に舞台の集客力が一気に落ちてしまった人がいます。舞台の運営側は彼の「演技」ではなく、「集客力」に期待してキャスティングしていたんですね。その証拠に、彼はその会社からあまり声をかけられなくなってしまったので。「人気商売」と言われる通りで、仕方ないと言えば仕方ない。
舞台の上で、社長は俳優に大激怒して、思いを告げます。「俺はお前のために沢山の人に嫌われてきた」と。
まだ売れてない時は使ってもらう人に頭を下げるしかありませんが、徐々に人気が出てきた時にこそ、マネージャーの手腕が生きると思います。ドラマの役どころ一本で、運命変わりますからね。だからマネージャーさんによっては、とことん、プロデユーサーたちと向き合い話し合う。