90年代はすごかった。納得しないマネージャーがテレビ局のプロデユーサーにブチ切れたり恫喝したり。とある局では、マネージャーが納得しなくて椅子をぶん投げたなんて話を聞きました。

 ここだけ聞くと、スーパーパワハラ・モラハラマネージャーですが、その根底にあるのは自分が担当するタレントへの愛なんですよね。怒れば怒るほど周りからは嫌われるし、面倒くさがられる。ただ、その緊張感があるからこそ、作り手も「あのタレントのマネージャー、面倒だからな」と、ちゃんと考えることも沢山あったと思います。

 ある意味嫌われることが仕事だった時期もあるんです。だけど、売ってもらった方のタレントさんはその裏側を見てないし知らなかったりします。今は時代も変わり、そんなことしたら逮捕されるでしょう。

 そんな「嫌われることが当たり前」のマネージメントをしていた人は50~60代になっているでしょうし、その頃怒られた局側の人は偉くなっているかもしれない。若いころに怒られたこととか一生忘れませんから。

 今田さん演じる社長は、最後に会社もなくなり仕事もなくなり、舞台で嘆きます。「俺は何者なんやろうな・・・」。一生懸命会社のために頑張ってきた人が、気づくと何もなくて、自分は何者かと・・・。

 過去のやり方を今の時代に当てはめてすべて批判するのは良くないと思いますし、その時その時の功績をある意味誰かが誉め続けてあげないと・・・と思ったりするんですよね。最近。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。

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