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「リベラルアーツ」というと、大学で学ぶ一般教養のイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、「探究型学習」の第一人者であり、『自分で考える力を鍛える 正解のない教室』(朝日新聞出版)を刊行した矢萩邦彦さんは、予測不可能な時代が訪れた今、人生を豊かに生きるためにこそ、リベラルアーツが必要だと話す。その理由を聞いた。

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 リベラルアーツは中世ヨーロッパにおいて、肉体労働から解放された自由人のための特に重要な教養だと考えられていました。この場合の「肉体労働」は、やることを他者に決められていることを指します。つまり「自由人」というのは、ある程度自分のやることを選択する自由がある人のことです。

 もしかしたら、「自由なんて面倒くさいから、やることを決めて欲しい!」と思う人もいるかもしれませんが、それでいいんです。自由に決めるかどうかを選ぶことができることこそ、リベラルアーツ的な自由ですから。信頼できる誰かの意見に合わせたり、仕組みに乗っかることも自由。降りて自分で考えることも自由。それが真の自由です。

 では、そんなふうに人生を自由に選択するために役に立つことは何でしょうか?その答えは大きく二つあります。

 一つ目は、言語能力・コミュニケーション能力です。ぼくたちはひとりで生きていくわけではありません。たくさんの人たちと協力し合って生活したり、影響を受けたりしながら自分の好きなことを探究していくわけです。だから、リベラルアーツのなかで最も重要なのは言語に関するものになります。

 人間の特徴は何だと思いますか?まっさきに挙げられるのは言語です。では、言語によってはじめて可能になったことは何でしょう?それは、いまここにいない人、ここではない場所のことを伝えられるということです。時間を超えて過去や未来の話をすることもできます。文字が発明されてからは、離れた場所や別の時間にいる人にメッセージを送ることもできるようになりました。

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すぐに役には立たないけれど