ぽっこり突き出たおなか。「何が悪い」と開き直っている人もいるかもしれない。だが、そこに詰まっているのは夢でも希望でもない。糖尿病、高血圧、認知症など、さまざまな病気を引き起こす内臓脂肪だ。
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4年前、胃の痛みを感じて病院へ行ったのが内臓脂肪との闘いの始まりだった。
大阪市内に住む自営業の男性(55)が血液検査を受けたところ、過去1~2カ月の血糖コントロールの状態がわかる「HbA1c」(ヘモグロビンエーワンシー)が、正常値6.2%以下のところ7.3%もあった。
「糖尿病ですね」
医師に言われ、血糖値をコントロールする薬を飲み始めた。おかげで一時期数値は落ち着いたが、その後は8%台が3カ月も続く事態に。毎日自己注射するインスリン療法を提案されたが、2週間の入院が必要と言われて仕事を休めず、猶予を願い出た。
そのとき教えてもらったのが、内臓脂肪の話だった。脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があり、内臓脂肪は糖尿病や高血圧などの生活習慣病を引き起こすリスクが高いこと。腹部CT写真で体の断面積に占める脂肪の面積が100平方センチを超えると、内臓脂肪型肥満と診断されること──。
腹部CTを撮ると、内臓脂肪が130平方センチもあった。食事はたんぱく質を意識的に取ること、有酸素運動を取り入れるよう指導を受けた。
大好物のお好み焼きやたこ焼きは我慢。白米は極力控えて炭水化物を減らし、1日1万歩を心がけた。ただ、男性は糖尿病を指摘される前にうつ病になった経験があり、寛解した今も「食べなければまた、あのときのように食欲を感じなくなる」という不安もあって食事制限を徹底できない。そうしているうちに、2年前、急性膵炎で入院した。
急性膵炎の2大原因はアルコールと胆石だが、男性は酒をほとんど飲まず胆石もない。医師は言った。
「内臓脂肪が影響しているかもしれません」
また内臓脂肪だ。
いくつもの病気の引き金となる内臓脂肪とは、一体何なのか。