香取:僕も一つのことにのめりこむタイプだから、郁男と近いところがあるのかもしれない。僕は本当言うと、お芝居が苦手。例えば草なぎはお芝居が大好きなんですよね。僕は絵を描くことも歌って踊るのも「大好き!」といえるけど、お芝居はちょっと違う。だからあまり考えずに、その場で感じたことを忠実にやる。「本番!」と言われたときに、自分のすべてをぶつける、という感じです。

リリー:でも、一緒にやっていると、シーンごとに体温が違うのがわかるんですよ。すごく体が熱い日と、ひんやりしてるときとがある。しかもそれが郁男の心理や状態として、スクリーンにちゃんと映ってる。すごい才能だと思った。

香取:リリーさんって“セリフ”を言わせてくれないんですよ。セリフのまま言おうとすると、「自分、浮いてるんじゃないか?」っていうくらい自然で。そのリリーさんの空気にのって、演技ができた気がします。

 映画の舞台は宮城県石巻市。そこにも大きな意味がある。

リリー:人間の再生の物語ですからね。話とロケ地の空気感がすごく一致していました。実際に現地に行ってみると、まだまだ復興の途中でもある。それでも人はたくましく生きていかなければならないんだなと。

香取:僕は震災後に何度か足を運んで「また来るね」と言いながらも何年も行けてなくて、すごく心に引っかかっていたんです。今回の撮影で、地元の方といろいろ話せてよかった。

リリー:オレ、今回けっこうスケジュール空いてたから、石巻のスナックでボトル入れ散らかしてましたよ。

香取:あはは。

 香取は2017年から「新しい地図」で再スタートを切った。その仲間である草なぎ剛、稲垣吾郎も、それぞれ新境地を開拓している。

香取:刺激し合ってます。家にいて「あ、今日、稲垣さんの舞台の初日だ」と思うと「え? オレ、家にいてだいじょうぶかな」とか(笑)。絵の個展をやっていても、個展って普通は作家は登場しないですよね。でも僕、我慢できず、しょっちゅう行っちゃってるんですよね。

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