24歳とは思えない落ち着いた雰囲気があり、話す言葉からは確固たる信念が伝わってくる。

 周囲の俳優たちについてたずねると、「みなさん素敵な方ばかりです」と笑顔を見せ、幾度か共演した高橋一生(38)の人間力の高さとカッコよさに憧れていること、「半分、青い。」で共演した豊川悦司(57)の豊かな人間性に感銘を受けたことなどを教えてくれた。一方で、「でも、そういう方々に自分の芝居を寄せていこうとか、まねようとかは思いません」と語る。

「それをやったら本来の自分じゃなくなっちゃいますから。僕は自分で納得しないとやれないし、頑固な性分なので物事を突き詰めていきたい。とくに仕事の上ではそうですね。筋が通らないことが嫌なんです。でも、妥協しないところが自分の取り柄だとも思うので、自分なりのやり方でやってます」

 この先、こんな役をやりたいという希望はない。自分に舞い込んでくる役を精一杯演じたいという。

「この役を志尊に、と預けてくださるのは、それができると評価していただいたということ。うれしいですよね。どんな役に出合えるのかはギャンブルみたいなところもあるし、すごい冒険だと思います。だから、自分でゴールは決めたくない。『いま』が一番大事で、先のことはあまり考えられないです」

 いまを見つめる姿には、若さゆえの真っすぐな姿勢が感じられた。

「この仕事をしている中で、これ以上の幸せはもうない、やりきったと思うことはないのかもしれないとも思います。俳優って不思議な世界ですから」

(ライター・早川あゆみ)

AERA 2019年7月1日号

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