そこで最近では「ガバージュ」という過激な治療法が出現した。健康な人のウンチから腸内細菌を移植するという方法だ。さすがに経口的に入れるのは抵抗があるので、他人(主に生活環境をともにする親族)のウンチからとった上澄み液を肛門から導入する。回復成功例が多数報告されている。
人は一人で生きているわけではない。これは何も金八先生みたいなことが言いたいのではなく、たくさんの生物と共生しているということである。
◯福岡伸一(ふくおか・しんいち)
生物学者。青山学院大学教授、米国ロックフェラー大学客員教授。1959年東京都生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授を経て現職。著書『生物と無生物のあいだ』はサントリー学芸賞を受賞。『動的平衡』『ナチュラリスト―生命を愛でる人―』『フェルメール 隠された次元』、訳書『ドリトル先生航海記』ほか。
※AERAオンライン限定記事