東京・京橋の「ハイブリッド・キッズ・アカデミー」(ブリキッ)が教えるのは、iPadなどタブレットを使った新しい学習法。教室は、東京大学先端科学技術研究センターとソフトバンクのグループ会社であるSBプレイヤーズによる連携から生まれた。取材当日、教室に集まっていたのは小5から中1までの男女5人。彼らに共通するのは、学習障害(LD)の傾向があることだ。

 この日の授業は「グッドノート」というノートアプリの使いこなし術。子どもたちは新しいフォルダを作ったり、写真や資料を取り込んだりする方法をあっという間にマスターしていた。

 2年前からここに通っているという小学5年生の男児は、授業中に床に寝転がったり、立ち歩いたりを繰り返し、「ADHD」との診断を受けていた。ところがブリキッで学んだスキルを使って、学校の授業でもiPadを使い始めたところ、ぱったりと離席行動がやんだという。母親(43)は言う。

「立ち歩きの本当の原因は、多分書けないことにあったんでしょう。あとから聞くと、板書をノートに写せないから友だちのところに行って読んでもらったりしていたみたいです。それがiPadを使って自分でノートが取れるようになってから、席を離れなくて済むようになった」

 多かった忘れ物も、次の日の予定や持ち物が書かれた黒板を写真に撮るようにした結果、劇的に減った。

「いまとなっては、ADHDの診断は本当だったのかなと思うくらい。環境次第でこんなに変わるのかと驚いています」(母親)

 しかし、iPadなどのデジタルツールの持ち込みが許可されるかどうかは、通っている学校や教師の考え方次第だ。その理解を得るために、ブリキッでは積極的に教師の見学を受け入れ、実際に子どもの変化を見てもらっている。ブリキッの運営責任者である佐藤里美さんは言う。

「これまで、みんなと同じテストが受けられなかったり、受けても一桁の点数しか取れなかった子どもが、ツールを使うことで80点、90点取れるようになる。その姿を目の当たりにして、『どうにかしてあげたい』と思ってくださる先生は多いです」

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