育休をとりやすい職場環境づくりの一環として三井住友海上火災保険が新設する「育休職場応援手当」が大きな反響を呼んでいる。3月12日、読売新聞オンラインが「育休を取得した社員の同僚に最大10万円の一時金」と配信すると、掲載された「Yahoo!ニュース」や「NewsPicks」などに賛同するコメントが数多く書き込まれた。しかも、驚くべきことに、同社はたった数日でこれらの声を吸い上げ、制度内容を大きく改善したことがわかった。
【最大10万円「育休職場応援手当」はどう変わった? 詳細はこちら】
* * *
「読売さんの記事が出たのが日曜でした。月曜の朝、出社すると、ヤフー(ニュース)などのコメントがすごいことになっていると言われた」
そう語るのは、「育休職場応援手当」制度を立案した三井住友海上火災保険人事部部長の丸山剛弘さんだ。
読売新聞の記事には、次のように書かれている。
<13人以下の職場で育休取得者が女性の場合、同僚に各10万円を支給する。取得者が男性の場合、育休期間が女性より短い実態を踏まえ各3万円とする。41人以上の職場で取得者が女性なら各1万円、男性なら各3000円とする>
インターネット上のコメントにとどまらず、「直接、話をしたい」と、人事部にも電話がかかってきた。見知らぬ声の主は、こう訴えた。
「非常に素晴らしい仕組みだと思うし、期待している。ただ、男性と女性のどちらが育休をとったかで支給金額に差があるのは惜しい。ぜひ男女の差をなくしてほしい」
社長に見直しを進言
この声に丸山部長は耳を傾けた。
「ヤフーにも同様のコメントがあったのですが、もうおっしゃる通りというか、至極真っ当なご意見でした。制度をよりよいものにしたい、という気持ちがすごく伝わってきた。なので、経営会議にも出し、労組にも提案した内容だけれど、変えちゃえばいいじゃないか、と思った」
この制度案はすでに経営会議に付議され、労使協議の完了を条件に新設することが承認されていた。それをヤフー・ニュースのコメント(ヤフコメ)や直電の意見をもとに大幅に見直そう、というのである。