アエラ5月13日号「現代の肖像」で山里亮太さんを執筆した。最後を「ご両親へ。結婚はちょっと遠いみたいです」と締めくくった1カ月後の結婚。トホホな事態になったことは棚に上げ、記者会見に出席した。取材の続きをしているような気持ちになることが何度もあった。
しずちゃんが涙ぐんだ場面もそうだった。「現代の肖像」の取材でも、笑いという仕事をどれほど愛しているか、さまざまな表現で語ってくれた。会見での「この世界で戦う」という表現は仕事愛のバリエーションと、腑に落ちた。
4月にMCをする番組が三つ増え、レギュラーが合計16番組になったことを取材の中で「ありがたい」と表現していたことも思い出した。
会見で「蒼井優という女優」を妻にした感想を聞かれ、「ありがたいって言葉しかないです」と答えていたのだ。山里さんはまず感謝を述べ、次への努力をセットで語る。そして強い人でもある。自分への自信を、きっぱりと語ることがある。
だから会見で「芸能界一のモテ女優」と蒼井さんを表現する質問者に対し、蒼井さんへの思いを強い調子で語った瞬間、ああ彼女への愛に自信があるんだなあ、自信を持てるほど彼女からの愛を確信してもいるんだなあ、と思った。
その質問者は、「芸能界の男性でもファンが多い。ファンへのメッセージはありますか」と尋ねた。蒼井さんが過去、いわゆる「熱愛報道」を複数の男性とされたことの遠回しの指摘だった。
山里さんは、「めちゃくちゃ好きだった方がたくさんいらっしゃったかと思うんですけど」と言って少しの間をあけてから、きっぱりとこう答えた。
「その方々が気持ちを高めるスピードが僕より遅かっただけだと思うんで。僕はすごいスピードで告白してもいいと思うくらい、好きな気持ちがあったので」
重ねて、世間に流布したイメージと本当の彼女は全然違うんだと熱く語った。純粋で、コロコロ笑い、すごく泣く人だ、と。
芸能界で結婚会見は、ほとんど絶滅危惧種だ。あえて実行した誠意の表れかのように、山里さんは要所要所で笑わせ、蒼井さんの言葉に「ツッコミ」でサポートをした。緊張からかすべることもあったが、しずちゃんが「面白くないなー」と言い、蒼井さんはすごく笑っていた。