新たな生活に期待がふくらむ半面、春は環境の変化などからココロが不安定になりやすい季節で、ストレスによるダメージで体調を崩すことも多いようです。この記事では、日本の漢方のルーツである中国の伝統医学「中医学」をもとに、三つのタイプ別【春のストレス対策】を専門家が分かりやすく説明します。
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■ 「肝」「脾胃」のケアで、ストレスに負けない体質に
身体に不調があると気分が落ち込みやすくなったり、反対に、悩みやストレスを抱えていると体調を崩してしまったり……。そんな経験は、だれもが持っているのではないでしょうか。
中医学は「心身一如(しんしんいちにょ)」、心と身体は一つという考え方を基本としていて、心と身体の状態は互いに影響し合っていると考えます。そのため、ストレスの対処も精神面だけでなく、身体を整えながら、心身全体をバランスよく保つことを大切にします。
身体の中でストレスと深く関わっているのは、五臓の「肝(かん)」(肝臓)。肝は体内の「気」(エネルギー)の流れをスムーズに保ち、ストレスをコントロールする働きがあります。また、身体に栄養を与え、精神を安定させる「血」の貯蔵庫でもあります。
こうした機能が十分に働いていれば、ストレスを受けても上手く対処できるため、ダメージを強く受けることはありません。ところが、体内の血が不足していたり、過剰なストレスを受けたりすると、肝の機能が低下してストレスをスムーズに発散できなくなってしいます。結果、イライラや情緒不安定、不眠、胃痛など、さまざまな心身の不調につながるのです。
また、心と身体の「元気の源」となる「気」の不足にも要注意。気は「脾胃(ひい)」(胃腸)が消化吸収する食事の栄養から生み出されるため、脾胃を健やかに保つことも大切です。
身体を整え、ストレスに上手く対処することは、病気を予防するためにも大切なこと。春から始まる一年間を健やかに過ごすためにも、この機会に自分の身体を振り返り、ストレスに強い身体づくりをめざしましょう。
【チェック】タイプ別「ストレス」対策
ストレスに強い身体づくりのポイントは、「肝(かん)」(肝臓)と「脾胃(ひい)」(胃腸)を元気に保つこと。健やかな心身の基本となる「気」「血」を十分に養い、滞りなく体内を巡らせ、ストレス対応力を高めましょう。