●試合で目立ってメインイベントになれば良い
天心デビュー戦と同日には、寺地拳四朗(BMB)とジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)の世界3団体ライトフライ級王座統一戦がある。井上拓真(大橋)とリボリオ・ソリス(ベネズエラ)のWBA世界バンタム級王座決定戦も組まれた。しかし「メインイベントはノンタイトルの天心戦」という声も上がったことに、各方面で賛否両論が飛び交っている。
「従来からの風潮がそういう雰囲気を作り出してしまった。日本には序列を重要視する文化があり、ボクシングでは4回戦から上がっていくというのがある。だからメインイベントは最後というイメージ。でも本来なら試合順は重要ではない。海外では必ずしも最後の試合がメインではなく、お客さんが集まりやすい興行の真ん中にメインを持ってくることもあります」
「Amazonさんも言っていましたが、『トリプルメインイベント』。質の良いカードを揃えるだけで序列はつけていない。拳四朗が言っていましたが、各選手が試合で目立って他を食ってしまえば良い。ベストなパフォーマンスをして、お客さんがメインだと思えば良いと思います」
●天心は井上尚弥に通ずる
安河内氏は自身もプロライセンスを持っており、長年にわたり数多くのボクサーを見てきた。デビュー前ではあるが、「ボクサー・那須川天心」をどう見ているのだろうか。
「(天心は)プロテストで初めて見ました。相手選手も試合を控えて体を絞って良いコンディションで、手を抜くことなく打ち合ってくれた。その中で際立つ運動能力が見えた。相手のパンチをかわしてカウンターを打ち込む、そういったタイミングが良かった。ハードパンチ1発で倒すようなタイプではなく、駆け引きやタイミング、スピードなどで勝負するタイプに感じました」
「ボクシングとキックは間合いもバランスも違うので、習得に時間もかかります。その中でプロテストも日本タイトルを狙う選手とやらせました。プロテストはB級選手とやれば良いのですが、トップクラス選手とやらせた。それでも遜色ない。良いパフォーマンスをしていました」
「格闘技の中でもずば抜けた選手でしたから、センス抜群なのは間違いない。また練習でやったことを全て試合に出せる部分では、井上尚弥に通ずるものも感じました。試合では怖さなどもあるので、練習に比べてパンチの打ち出しのタイミングが少し遅れてしまいます。井上はそれが全て出せるタイプだが、天心には似たようなものを感じました」