●ボクシング界はここから先が重要
ボクシング界には追い風が吹き始めている。井上尚弥は競技の枠を超えた著名なアスリートとなった。その他選手にも注目が集まり、世界チャンプ増産への夢も膨らむ。
「ボクシング界への注目度が高まっています。これが僥倖で終わってはいけない。井上のようなスター選手が出る時もあれば、出ない時もある。それだけに頼るのじゃなく、ボクシング界全体で進んでいきたい」
「JBCは経営破綻による解散等で信頼を失い、立場は地に落ちました。ここから信頼を回復していかないといけません。試合を管理する立場として、試合管理業務を100%のパーフェクトに整えないといけない。選手がリングで自身の力を十分に発揮し、終わったら家族のもとに安全に戻れる。そういった試合管理の基本に立ち返っていきたいです」
状況が好転し始めた現在だからこそ、これからが重要になる。改めてJBC再建を託された安河内氏は、立ち止まっているわけにはいかないと強く語る。
「格闘技の凄さを自分が証明したい」(天心)
「挑戦する姿勢に敬意を込めて殴り倒したい」(与那覇)
大会会見ではそれぞれ独特の言葉で意気込みを語った2人。デビュー戦の裏側にある様々なドラマを思い浮かべながら、この試合を楽しみたい。そして天心戦だけでなくこの大会そのものが、ボクシング史に残るのは間違いない。どの試合がメインイベントになるか、ジャッジしてみるのも良いだろう。ボクシング界の未来を占う1日はすぐそこだ。
(文・山岡則夫)
●安河内剛/1961年4月3日、福岡県出身。ボクシング審判員、日本ボクシングコミッション (JBC) 元事務局員。早稲田大在学中にプロボクシングC級ライセンス取得。1994年JBC職員となり国際部長、事務局次長、事務局長を歴任。現JBC特命担当事務局長。