国際系学部の志願者数が増加傾向にある。国際系学部の有名5大学以外にも、新たな国際系学部が次々に生まれている。その人気の理由は「英語以外の付加価値にある」と関係者は語る。
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国際系学部の人気が止まらない。大学通信の調査によると、全国有名110大学の国際系学部志願者数は、2015年度は約7万2千人だったが、17年度約9万2千人、19年度約12万1千人と増加の一途をたどっている。前年度比でみると、約125%と全学部系統でトップの伸びを果たした。
ここ数年、国際系の学部というと、ICU、国際教養大学、上智大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学の「グローバル5」が圧倒的な存在感を示してきたが、グローバル人材を育てる新しい国際系の看板学部が続々と生まれている。
国際系学部はおおむね英語で学ぶ科目があるが、高校で英語4技能を学ぶようになれば、他学部でも英語で学ぶ科目が増えることが予測される。教育ジャーナリストの後藤健夫さん(58)は言う。
「国際系学部も、英語教育だけでは勝ち残れない。英語以外の付加価値も求められるようになってきている」
すでに法政大学で最も偏差値の高い学部となったグローバル教養学部(GIS)は、市ケ谷キャンパスにある。4年生の鳥塚彩海さん(21)がGISを選んだ理由は、「語学力を鍛えるため」だった。小学生の頃2年半英国で暮らし、英語に興味を持ったことがきっかけだ。入学当初から留学を希望していた。
同大には、奨学金が支給される派遣留学制度がある。学内選考に通った学生が対象で、3、4年次に協定校で約1年か半年学ぶ。大学の学費さえ納めれば、派遣先の授業料は免除され、さらに1年留学の場合は100万円(中国、台湾などは70万円)、半年の場合はその半額が支給される。昨年は86人がこの制度で留学。鳥塚さんはオーストラリアのアデレード大学に留学した。
「欧米やオーストラリアの大学は学費が高いので、私費留学だったら行けなかったかもしれません。勉強に専念したかったので、奨学金の支給もありがたかった。奨学金は現地の生活費にあて、自費は月4万円程度で済みました」(鳥塚さん)