さらにここ数年先発を支えてきた大野雄大、柳裕也の2人も順調に調整を続けており、そこにトレードで涌井秀章が加わったことで先発陣はさらに強力となった。またリリーフ陣もWBCでキューバ代表として戦った影響は気になるものの、R.マルティネス、ロドリゲスの2人が昨年は圧倒的な成績を残しており、この2人に繋ぐまでの中継ぎ陣も強力だ。失点が計算できるという点では、阪神と並んでセ・リーグトップと言えそうだ。
一方の野手で期待したいのが新外国人のアキーノとドラフト7位ルーキーの福永裕基だ。アキーノはメジャーで3度二桁本塁打を放った実績があり、オープン戦でもここまで打率は1割台ながらチームトップの4本塁打を放ち、その長打力をアピールしている。また外野から見せる強肩も大きな魅力だ。
また福永もホームランは1本ながら、ここまでチームトップとなる10打点をマークしており、効果的な長打が目立つ。ともに確実性は課題が残るものの、とにかくチームに足りない長打力を秘めた選手だけに、ある程度我慢して起用してもらいたいところだ。
ただ、トータルで見てみると、やはり苦しい面が多いのも事実である。二遊間は前述した福永以外のレギュラー候補を見ても同じルーキーの村松開人、高校卒3年目の龍空など実績が乏しい選手ばかりで、オープン戦で活躍していた田中幹也も右肩の脱臼で長期離脱する可能性が高いと見られている。
また正捕手の木下拓哉も25日のオープン戦で左肩にバットが直撃して途中交代となっているが、2番手以降の捕手が手薄な印象も否めない。そういった点を総合すると、新外国人やルーキーなど計算が難しい選手たちが全て上手く転がるようなことが起こるというのが、上位浮上への絶対条件と言えるだろう。
そうなるとやはり重要になってくるのが首脳陣の目指す戦い方である。前述したアキーノ、福永以外にも期待の若手である石川昂弥、現役ドラフトで獲得した細川成也などはいるものの、やはり劇的に長打力不足が改善することは考えづらい。そうであるならば、時代の流れに逆行しても、攻撃面では徹底して機動力を駆使していくのも一つの方法ではないだろうか。