ジョージアで造る、本間真理子さんのワイン。稀少なクヴェヴリ製法によるワイン(中央)もある。ワイン展会場近くのブースで試飲・販売している(撮影/篠塚ようこ)
ジョージアで造る、本間真理子さんのワイン。稀少なクヴェヴリ製法によるワイン(中央)もある。ワイン展会場近くのブースで試飲・販売している(撮影/篠塚ようこ)

 ジョージア(旧名・グルジア)が注目を集めている。世界最古のワイン産地であり、映画、絵画、舞踊などを育んできた独特の文化が人々をひきつける。

【写真特集】知ればとりこになるジョージア文化

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 蜂蜜のような香りと甘やかさがあり、すっきりとした白。しっかりと土の味わいがある赤──「寺田倉庫 B&C HALL」(東京都品川区)で開催中の「世界最古のワイン ジョージアワイン展」の試飲スペースで供されたワインは、個性的で忘れられない味だった。

 ジョージアは8千年前に始まるワイン文化の発祥地だ。素焼きの壺を地中に埋めてブドウを醸造させる独特の「クヴェヴリ(壺)製法」がいまも受け継がれ、2013年にはユネスコの無形文化遺産に登録。世界中から注目を浴びている。

 同展はそんなジョージアワインの魅力を紹介すべく、ジョージア国立博物館所蔵のワインにまつわる美術品などを展示。ジョージアワインの試飲・販売もし、伝統料理を味わえるカフェも併設されている。

 そもそもジョージアとはどんな国なのか。コーカサス山脈の南に位置し、ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコと国境を接している。面積は北海道の80パーセントほどで、人口は約390万人。東西交易の十字路として幾度も侵略を受けるなかで、独自の言語と文化を守り続けてきた。1991年に旧ソ連から独立し、15年から日本語での表記もロシア語の「グルジア」から英語のジョージアに変わった。

「ジョージアの歴史は侵略と占領の歴史でもあります。多くの宗教や文化の影響を受け、いまも多様な民族が暮らしています。そのなかで個々の個性をうまく融合させながら、彼らは唯一無二の個性的な文化を何よりも誇りにしているのです」

 と、絵本作家で元・岩波ホール社員のはらだたけひでさん(65)は話す。約40年前にジョージアの画家ピロスマニを描いた映画に魅せられ、以来、ジョージア映画と文化を日本に紹介し続けてきた。映画も絵画も独創的で素朴、人間的な味わいが魅力だという。

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