【解説】
インターネットが普及し、誰もが気軽に病気、健康、医療、治療などに関する情報を際限なく得られる時代です。しかし、ネットに限らず、書籍やテレビのコマーシャル、雑誌の広告などに書かれている健康情報は、あくまでも平均的、あるいは不十分で、誤りである場合も少なくありません。玉石混交の情報から、自分の病気や治療などに合った情報を取捨選択するには、医療知識が必要です。
不安なときは、少しでも安心したいと思うのは自然ですし、私たちはネットの情報を自分の都合の良いように解釈して読む場合が多いものです。あふれる健康情報から必要、適切なものを理解、評価して自分の健康管理に適用する能力が「ヘルスリテラシー」、認識力の一環です。
ネット情報を医師との対話に利用するのは悪いことではありません。むしろ医師も「この患者は自分で調べて、早い回復の努力をしている」という気持ちにもなるでしょう。
しかし、Bさんのように全部分かっている、という姿勢を示し、さらには〇〇の治療法や薬を、と言われると医療のプロがどんな気持ちになるか、その結果Bさんにとって不利益な診察となるかもしれない、ということは意識しておく必要があります。
【エピソード2】
Bさん:先生、お久しぶりです。定期健診で尿酸値が高いという結果だったので、再検査を受けるように、と言われて今日はお伺いしました。
医師:(カルテを見ながら)Bさんはときどき風邪で来られていましたが、それ以外特に大きな病気もありませんでしたね。健診の結果を見ると、確かに去年の数値からかなり上がっていますね。何か心当たりはありますか?
Bさん:いえ、別に。ただ、仕事が忙しくて、お客さんや会社の者と飲む機会は多いので、その結果がこうなのかな、とは思っていました。ネットでも調べてみたのですが、痛風って大変らしいですね。
医師:そうなんですよ。足の親指が腫れて、強く痛むんですよ。痛風の発作が出ないように、これから対策を考えないといけないですね。健診からしばらく時間が経っていますから、あらためて血液検査をしてみましょう。食事やアルコールが原因のことが多いので、まずそのあたりの注意が必要です。急に値が上がっているので、生活や仕事の中で何か思い当たることがないか、教えてもらえるでしょうか。