「死別後の1年間は特にこれまでの生活との比較をしてしまうことが多く、つらい時期です。悲しみは一生消えるものではありませんが、平均して死別後4年半ほどすると悲嘆の反応は落ち着いてきます」(宮林さん)
こうした悲嘆のプロセスや反応には個人差があり、同時に複数の反応が常に重なり合って表れたり、揺れ動いたりして徐々に落ち着いていく。
前出の大西さんによると、死別を経験すると心筋梗塞や脳卒中の発症率も上がり、食生活が乱れ、飲酒が増えるなど健康問題を抱える遺族は少なくない。また、うつ病は通常人口の3~7%にみられるが、遺族は死別後1年の時点で15%、約6人に1人にみられるという。死別後の反応とうつ病の症状が似ているため見逃されることがあるが、眠れない、食べられないといった症状が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性も考えて医療機関を受診したほうがいい。
回復してきたと思っていたのに、ある日急に涙が止まらなくなる、朝起きられなくなるなど回復が「後退」してしまったように感じることがある。大西さんによると、故人の命日や誕生日などの「記念日」に起きやすい反応で、特定の日時だけでなく、亡くなった人との思い出が深い桜の季節やお正月やクリスマスなども要注意だ。
「こうした変化が出ることを事前に知っておくことで、ある程度冷静に対応できます。死別を経験した方には、記念日前後には多くの予定を組み込まないように、と伝えています」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2019年3月25日号より抜粋